第25話 『キクちゃん日記』(H18,12,13)
@  ぼくは、キクイダタキのキクちゃん。正しくはキク次郎。ぼくの
仲間は、頭に菊色した小さな冠を持っているから、人間達は
勝手に菊戴(キクイタダキ)と呼んだらしい。ま、そんなことどう
でもいいや。えっ、そんなところで何してるかって?
エヘヘちょっと失敗しまして、ノウシントウってやつになりまし
て、今、頭を冷やしているところです。
@
A  そんなに近くに寄ってこないでよ。こわいじゃない。
A
B  えっ、またまた近づいてくるの?つかまえたりしないでね。
もうすぐ飛べそうだから。・・・・・・・。
 小呂島はぼく達のような野鳥の楽園と聞いております。
毎年たくさんの渡り鳥が羽を休めます。ある鳥達はシベリヤ
大陸から朝鮮半島を伝って日本本土に。そしてもっと南の
島へ渡っていくのですが、その途中、玄界灘で羽を休める
には、ここ小呂島はとても有り難い場所なのです。
 ぼく達だって長旅に疲れるのです。
 ちなみに、この100年間の間に小呂島で羽を休めた鳥は150
種類にもなるということです。もちろんこの中には楽園小呂島で
1年中を過ごす鳥たちも入っていますが・・・・・・。我々にとって、
そんな有り難い有り難い島なんですが、時折こうやってノウシン
トウを・・・・・(いいえ、それ位ですめばいいのですが時には命を
落とす仲間達もいます。)それはね、ぼく達にとって苦手な窓ガ
ラスがあるからなんです。どうもあのガラスとやらがあるのか無
いのかよく分からないんです。小呂島は家々が南にかたまって
建っているので、北の森に包まれた小呂小中学校という建物
があるのをついつい忘れて勢いよく飛びすぎるのです。そして、
校舎の窓ガラスがあるのにも気づかず。
 ゴツーーーン!と頭から突入してしまうのです。
今朝もまた大失敗をしてしまいました。
 特に今はぶつかった職員室の西側の窓ガラスは朝日が目に
入ると、まぶしくて目をつぶってしまい、こんなことが多いので
す。
B
C  そこで、先生達はいろいろとぼく達のことを考えてくれて、窓
ガラスに、ぼく達小鳥が苦手なカラスの絵を張ってくれたり・・・・。
C
D もっと怖いトンビさんの絵も大きく大きく描いて張ってくれていま
す。
 小呂小中学校の先生方、ぼく達のことを心配してくれてありが
とうございます。そこまでして下さっているのに、ほんとうに申し
訳ありません。また、今朝もやってしまって・・・・。
 ああ、もう少しです。もう少しで、目まいも直りそうです。
D
E  
 
 はい、とべました。
E
F   ちょっと玄関脇のソテツの葉っぱの上でしばらく休んでいきま
す。もう少し体調をととのえてから飛んでいきますので、もう少し
休ませて下さいね。
F
G  おや、目を下にやると、今度はシロハラさん。君も窓ガラスに
ぶつかったんだね。
G
H  ツィー、キョッ、キョッ、ツィー、キョッ、キョッ、そこまで鳴け
るんなら、あまり強く頭を打ったんじゃないようだね。よかった、
よかった。
H
I  おっ、足も立ち上がりましたね。いよいよ飛びますか?
 
 あっという間に空へ向かって消えていきました。シロハラ
さーーーーん。お互いに、今後は気をつけようねーーーー。
I
J  今日は、小春日和のうららかな一日になりそうです。こんな
日は、島が一面のツワブキの花に包まれ、静かな島に明るさ
を取り戻してくれます。
 
 ぼくの黄色の冠もツワブキに負けず、光り輝いています。

 ツイー ツイー ツイー
 
                           〜 おわり 〜
J