『知って下さい小呂島
  長いことへき地・離島・小規模校に勤めているといい事もあるもんだ。38年間の教職生活の内23年間が、それにあたるということでだろう。県のへき地教育研究会から表彰を受けた。これには3000円の図書券という副賞(?)まで付いており、こちらの方が嬉しかった。島にはもちろん本屋なんぞ無いから、次の博多行きが楽しみだ。アノ本を買おうか、コノ本を買おうかと夢見ている。このところどんよりとした天気が続いている玄界灘だが、そんなことで景色も晴れ晴れと見える。
 さて、その褒美をいただくと、急にあっちこっちの学校から問い合わせが増えてきた。その中身は、
①小呂小中学校を訪問してみたい(視察ともいう)
②うちの先生方に、へき地教育のお話しをしてほしい(つまり講演依頼)
の二つが多い。
 ①については、福岡市や福岡県の先生方(問い合わせは、いずれも校長先生や教頭先生が多いのだが)には、その難しさを説明するとすぐにご理解いただけるのだが、佐賀県や山口県や四国の先生方に説明しても、なかなかすぐには理解していただけない。
 ・ 1日片便で、その日の内には本土(内地と呼ぶ方もある)には帰れませんよ。
 ・ 火・木曜日は本土(姪浜港)から往復できますが、それでも島の滞在は3時間ですよ。
  (学校は島の集落の反対側にあり、歩きも入れると、実際は3時間もない)
 ・ 年平均70回(つまり70日)ほど欠航しますので、せっかく来られても姪浜で足止めをくらうことも
  あります。いや、もっと心配なのは、島からの帰りの便が欠航したら、本土にもどれなくなり(・・・・・・・)、そちら
  の仕事にさしつかえがでますよ。
 ・ 島には宿もなく食堂もありません。
 こんなことを、繰り返し繰り返し説明する。説明に疲れることもしばしばだ。小呂島が、多方面に知られるのは正直言って嬉しい。かといって、熱心な問い合わせに、そのような冷たい返事(心は冷たくないのだが)しかできない現状がもどかしい。申し訳ないので、学校の概要を書いた資料(『学校要覧』という)や、これまでの本校の研究資料を送らせていただくことで我慢してもらっている。それでも愛媛県から、はるばるとわが島を訪れた先生がいた。その研究熱心さには恐れ入ったが、それ以上に、私としては欠航のことが気になって仕方なかった。幸いにしてその日は凪で、愛媛の先生は、日帰りでバタバタと本校を視察して帰って行かれた。
 以上をまとめると、どうやら本校がその校名に、『福岡市立』と冠しているから、他県の方には、大都市の福岡市街(本土)からすぐ近い案外交通の便の良い離島と勝手に解釈してあるようだ。
 これからは、『福岡市立』の次にカッコ付きで(玄界灘まっただ中)と学校名との間に加えておく方が親切かも知れない。
 さて次は②について
 私は頼まれれば、ガラでもないのに何でもすぐに引き受ける。講演依頼もそうだ。しかしその多くは、『私の旅』『現代っ子の脳』『幼児教育の大切さ』に類するもので、『へき地教育』についてはこれまでになかった。元々、『へき地教育』『書と教育』の話など町の保護者や先生方に必要性がないからでもあろうが・・・・・。自分の経験談、それも夏休み中という条件付きでお引き受けをして、宗像市の大島小学校へ出かけていった。会場には大島中学校や、地島(じのしま)小学校の先生方も待っておられた。話の骨子は、
 ①私とへき地教育の関わり
 ②へき地の子ども達の特性(長所・短所)
 ③感覚刺激のさまざまな方法
 ④へき地教師こそ創造力を要求される
 ⑤へき地教師は常に感覚をとぎすましておく
 ⑥何にもないへき地だからこそ教師は創造力をかき立てて何でもやれる。やる必要がある。やることを望まれる。
 (ただし、④⑤はへき地教師に限った事ではない。また、⑥については、この頃は日本国中へき地性は薄れてきている気もするが)
 結論的には、私はへき地教育に出会って恵まれた。となるかもしれない。
 私のこんな教師人生を、ドキュメント風の30分テレビ番組に仕立て、11月18日(日)AM8:30からBS朝日で放映するという(放送日は変更もあるという)。私のことはともかく大都市福岡市にもこんな島がある(・・・・・・・)ということで見ていただき、知っていただければ幸いである。

宗像大島から見た小呂島      小呂島とほとんど同じサイズの海軍望楼と砲台跡
(天気が良すぎて薄ぼんや
りしか見えなかった)
※大島は戦跡が立派に公園化されていた。いずれ小呂島にも観光客がやってくる時代になったら・・・・・。