ツワブキの花 
ツワブキの花は
晩秋から初冬を
この時ここぞとばかり
島を覆うように咲き誇る。
寒風に負けじと
段々畑のあぜ道に
断崖絶壁の岩のすき間に
教職員住宅のコンクリート階段の割れ目に
通学路の土手に
力いっぱい咲き誇る。

スフィンクス岩の断崖に

教職員住宅に
早朝
ツワブキの花は
夜を徹して島を照らし続けた漁火に代わり
自分の出番とでも言いたげに
真っ黄色い顔を
なお一層赤らめ
背筋を伸ばし誇らしげだ。

中でも
通学路のツワブキは 
ことのほか
あわただしい。
もうすぐ17名の小中学生が目の前を通っていくから。
潮風であわてて顔をふき
団扇(うちわ)のような緑の葉をピカピカに磨き直し
シャンとした背筋の上に乗っかった首をさらに長く伸ばし
「おはよう」の準備に余念がない。

畑のあぜ道に
今朝もハシルクラの峠を越えて
声をはずませはずませ
島の子ども達が目の前を通り過ぎて行く。
「おはよう」
声をかけたら
みんながみんな
「おはよう」
と元気いっぱいの声を返してくれた。
みんなの健康さにホッとしたツワブキの花は
1年生の下校する午後までのいっときが休息だ。
みんながみんな笑顔で下校してきてくれることを楽しみに
毎日毎日
自分も笑顔で待っている。
自分も笑顔で咲いている。



通学路に