一本の通学路
 読書の秋、スポーツの秋、食欲の秋、小中学生のみなさんにとって、体に心に成長著しい秋がや
ってきましたね。今日は、私の住んでいる小呂島の小中学校までの道を案内しようと思います。直接
島を尋ねてもらいたいのですが、渡船や宿泊施設の都合で、レクレーションとして来ていただくこと
ができませんので、ホームページ上の案内で、私と一緒に1.2kmの道のりを散歩してみませんか。
玄界灘の香をかぎながら、島の澄みきったおいしい空気をたっぷり吸いながら・・・・。
@スタートはここ、七社神社前からです。祇園山笠(7月15日)の祭
りの舞台です。博多の山笠にも負けない漁師さんの勇ましい祭りで
す。神社を包むソテツは、樹齢300年ともいわれています。また、拝
殿の後ろのビロウの樹(き)は、自生としてはとても珍しいものです。
 その神社横の急坂を登っていきます。道幅は、軽自動車がようやく
通る位です。


A急坂を登ると約100mで、先生方の住宅です。小学校8名、中学校
8名の先生方の共同住宅です。昭和56年(1981年)3月までは、ここ
に小・中学校がありました。





B教員住宅の裏道を90度左へ折れ曲がりますここまでやや急坂
ですので、息切れがするかもしれません。





Cやや緩やかになった坂道をずんずん上っていくと、白いタンクが右
にあります。学校まで水を汲み上げるためのポンプ室です。学校の給
水タンクに、水が運ばれていない時は、ここまで約1km、急いで学校
から降りてきて、このポンプ室に入って、機械を点検しなくてはなりま
せん。




D坂道ばかりでくたびれましたね。ここらでちょっとひと休み。目を眼下
の港(旧)の方向に向けてみましょう。ただ今、新しい防波堤の工事が
急ピッチで進められています。台風の時などには、大型船や外国の船
などが風よけで入ってくることが出来るよう、堤を沖へ、そして、もっと
高いものに変えていっております。真っ直ぐ向こうは、佐賀県唐津市あ
たりになります。


E島に平たん地がありませんので、畑はこのように段々畑ばかりで
す。ここはイモ畑です。小呂島のイモは、とてもおいしいですよ。いず
れ観光客が来るようになると、このイモは、きっと島の名産品となる
ことでしょう。真っ直ぐ向こうは、壱岐島、芦辺です。




Fここが一番の急坂です。小中学校の冬の持久走大会(青年団も走
ります。
では、一番の難所です。左のこんもりした杜(もり)は、薬師
堂といって、島の方々が目の神様といって、あがめたてまつっていま
す。昔々眼病がはやった時に、ここで拝んだら、良くなったのかもしれ
ませんね。この椿のトンネルをくぐって、20名の小中学生は、毎日学
校へ通っています。夏でもひんやりとしていますよ。


G薬師堂のすぐ向こうにある海水淡水化装置です。島の360年の歴
史は、水との戦いでしたが、今では、この装置のおかげで、水の苦労
はなくなりました。でも水の大切さは家族から痛いほど聞かされ
ていますので、小中学生みんな、無駄な水を使いません。



Hここが通学路の峠(とうげ)です。この辺りをハシルクラといいます。
なぜ、ハシルクラというのか分かっていません。みなさんも考えてみて
下さい。(スタートしてここまで約800m)




I峠を越えるとすぐに、このめずらしい植物が目に入ります。
クロバナイヨカズラといって、県の貴重種植物ということです。毎年
梅雨時に、星形の濃い紫の小さな花をいっぱい咲かせます。島の
子も大人達もみんなで見守り育てています。ちなみにこの辺りが、
一番じめじめしたところで、よくアオダイショウが横断しているのに
出っくわします。クロバナイヨカズラは、湿っぽい場所が好きなよう
です。


Jハシルクラの坂道を下っていきますと、すぐ真正面に小呂小中学校
が見えます。
戦争中は、この辺りから先は、兵隊さんが常駐しており、
島の人は勝手に入ることは出来ませんでした。(学校のあるところは、
陸軍の兵舎でした。)



Kいよいよ学校が近づいてきました。あと少しです。がんばって歩いて
下さい。





L『谷』とよばれている所です。道が一番下がっていて雨水が集まりや
すい所です。集まった雨水が左へ降りていって、・・・・・





Mこのダムにたまるのです。ここにたまった雨水と、海水を混ぜて、
Gのところで紹介した装置にかけて、飲料水にするわけです。島の人
にとって、命の次に大切な水をたくわえるダムです。(この辺りはかつ
て、海軍の兵舎でした。)秋の終わりから冬にかけて、ここから、時に
長崎県対馬が見える日もあります。


N学校正門前からふり返って見たダムです。黒いマットが敷いてある
のは、雨水を土にしみこませず、できるだけたくさんこのダムに入れる
工夫です。正面ずっと向こう、遠く海の輝いている辺りに壱岐島北端
の勝本が見えているのですが・・・・。



Oさあゴール地点です。ここまで約1.2kmの散歩おつかれ様でし
た。小呂小中学校正門には、小学校と中学校の二つの校札が右と
左にかけられています。





P校門を入ると、小呂小中学校の校舎が目に入ってきます。正面に職
員室、1階に小学校、2階に中学校、右に体育館、手前は人工芝の緑
々したグラウンドです。左側がダムに近い急斜面ですので、グラウンド
が大雨などのあとにくずれないように、人口芝のマットになったと聞い
ております。


 今日10月1日は、学校は休みですので、森閑としておりますが、16日(日)は、島民の大運動会。
年に一度の島民こぞってのスポーツフェスティバルです。220名が集まって、応援の声やかけっこ
の音楽が、たくさんの大漁旗を揺すりながら、学校の周りの山々に張り裂けんばかりにこだまする
ことでしょう。
 
※タイトルを『一本の通学路』としましたが、実は『一本しかない通学路』と行った方がよかったかも
しれません。
                                                  第7話 おわり