第5学年 国語科(図書館教育)学習指導案

 

 

1 単元名 詩を味わおう

 

2 単元目標 

 ○ 短詩について知り、その表現されている内容や効果を味わう。

 ○ 詩集の紹介を楽しみながら聞き、自分の心に残った詩を選ぶことができる。

 

3 指導の考え方

 ○ 本学級の子どもは、1学期に「詩を味わおう」の単元で言葉に着目しながら「晴間」「海雀」「雪」の詩を読み、話者の視点から詩の情景を具体的に思いうかべる学習をした。本を読むことが好きな子どももいて、毎週水曜日のボランティアによる本の読み聞かせも楽しみにしている。しかし、そこから読書を広げたり友だちに好きな本を紹介したりすることはほとんどない。また、子どもたちの読書傾向を見ると、物語や小説、趣味の本などがほとんどである。自主的にたくさんの詩を視写するなど詩に興味をもっている子どももいるが、多くの子どもたちは詩集を手に取って読むことはほとんどない。

 ○ 本単元は、詩を読んで言葉で紡ぎ出すなぞや比喩や連想のおもしろさを想像したり、みんなで話し合ったりしながら楽しみ味わうことをねらいとしている。

教材の詩は、本文と題名とが一体となった短詩である。「ねぎぼうず」「ケムシ・―」は、言葉のなぞ解き、なぞなぞ遊びであり、「耳」「蝶」は、比喩や連想で表現している。この4つの詩は、題と本文が響き合い、それぞれ新鮮な味わいを紡ぎ出している。

5年生の子どもたちにとって、このような短詩の楽しさを味わうことは、詩への興味をもち、別の作品を楽しんで読むきっかけになると考えられる。

○ 本単元の指導に当たっては、まずなぞ解きや比喩を使った詩の魅力を十分に味わうために、短い表現から様々な題を想像するようにさせたい。正解にたどり着かなくても自分の想像した題を根拠と一緒に考えることを楽しませたい。また、たとえの言葉の使い方や表現の工夫から事柄の意味を想像させ、読み取った詩のイメージや感想を書くようにさせたい。

  次に、ブックトークを聞いて心に残った詩を選ぶようにさせる。クイズや読書へのアニマシオン、読み聞かせなどを取り入れて紹介することにより、子どもたちは詩に興味をもつと考えられる。

また、担任が選んだ詩を紹介したり、子どもが詩を選ぶときに支援を行ったりして、司書教諭と担任との協働を図りたい。

 

4 指導計画(2時間)

第1時 詩を音読したり、なぞ解きや比喩などの表現に注意して書かれた事柄を想像したりする。(1時間)

第2時 詩集の紹介を聞き、自分の心に残った詩を見つける。(1時間)・・・・・・本時

 

5 本時 平成21年10月5日(月)  

 

6 本時の目標

 ○ 詩集の紹介を楽しみながら聞き、自分の心に残った詩を選ぶことができる。

 

7 本時の指導の考え方

前時で子どもたちは、今までに学習してきた詩と比べて、短い言葉の中にも多彩な表現があることを学習した。本時指導にあたっては、ブックトークやアニマシオンで詩の紹介をして、詩を選ぶきっかけにしたい。まず、教科書の詩と同じように本文が問題、題名が答えになっている詩を取り上げる。簡単に答えられそうなものから難しいものまでクイズ形式で紹介することで、子どもたちは作者のものの見方に共感したり驚いたりするだろう。次に、谷川俊太郎の「くだもの」の詩でアニマシオンを行う。ここではグループで話し合うことで、お互いのものの見方を知るきっかけになるだろう。そして、この作者はほかにどんな詩を書いているのか興味をもてるようになると考える。

 そこで、同じ言葉が繰り返され、いくつかの連から成る同じ作者の詩を取り上げ、具体物を見せたあとで読み聞かせをする。子どもたちは、一言で表す短詩との違いを感じるだろう。

教師のブックトークを聞かせたあと、心に残った詩を選ばせる。その際、目次を利用して探すことなどを助言する。活動が進まない子どもには、担任も支援を行う。

最後に、数名の友達や担任が選んだ詩を聞かせて、さらにほかの詩集を手に取るきっかけにしたい。

 

8 準備

  詩集 野菜の絵カード 「くだもの」の詩を拡大したもの 付箋 ワークシート

 

9 本時の展開

考察(成果○と課題●)

○ 前時とのつながりで、詩の題名を当てるクイズを出したことで、子どもたちの興味をひくことができた。このクイズの答えは単純だが、様々な答えが予想できるので子どもたちのイメージを広げることができた。

○ アニマシオンでは、子どもたちは詩人の言葉の選び方をおもしろく感じることができた。

○ 詩の本を沢山用意できたので、子どもたちは思い思いに本を手に取って詩の世界にひたることができた。

○ 詩を選ぶときに付箋をつけさせたのは、子どもたちが後から自分が選んだ詩を振り返るのに役に立った。

○ 目次の使い方を教えたので、子どもたちが題名で詩を選ぶことができた。

○ 司書教諭からだけでなく、担任の先生から好きな詩について紹介をしていただいて、子どもたちが詩に対してさらに興味をもつことができた。授業の後、詩の本を手にする子どもや自分で詩を作ったり自分の好きな詩を書いたりする子どもが増えた。

 

 

● 紹介した本を子どもたちから見えないところに置いて次の活動にうつってしまった。また、詩の本の場所が子どもたちからよく見えないところだったので、学校図書館で行う意味が半減してしまった。場の設定をもう少し工夫すべきだった。

● 心に残った詩に付箋を付けることと、ワークシートに書き込む活動を同時進行で行ったので、早々とワークシートの枠を埋めてしまった子どもがいた。詩の本を読みながら付箋を貼る時間とワークシートに書き込む時間を分けた方が良かった。

● 「心に残った詩」がどのような詩を示すのか、子どもたちには難しかったようで、たくさんの発表につなげることが出来なかった。「おもしろいと思った詩」「好きだなと思った詩」「この言葉が気になる」など、心に残るということをもう少し易しい言葉で説明をすべきだった。また、発表するときに「なぜ心に残ったのか」という問いかけも子どもたちを戸惑わせたようだった。選んだ理由を整理して言えない子どもには、選んだ詩を音読させるなどして、周りの子どもたちにも知らせた方が良かった。

● 子どもたちが詩の本を読む時間をたくさんとるべきであったが、アニマシオンにかけた時間が長くなってしまった。子どもたちに自分の考えを発表させずにすぐに答えを教えた方が良かったのではないかと思われる。

〈詩を選んでいる様子〉           〈担任の先生が選んだ詩の紹介〉

 

 

 

 

 

 

10 シナリオ(テーマ「詩」)

配時

シ  ナ  リ  オ

2分

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

5

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

10

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

5

 

 

 

 

 

 

 

 

18分

 

 

 

 

 

 

 

 

 

5

 

T 国語の時間に学習した詩は、詩の本文が問題になっていて題名が答えになっているものがありましたね。

C うん、そうだった。

T 「さんぱつがきらい」なのは何でしたか?

C 毛虫

T 「地底から打ち上げられたロケット」は何でしょう?

C ねぎぼうず

T そうでしたね。みずかみかずよさんの詩はこの「こえがする」に載っています。そしてまど・みちおさんの詩は「つぶつぶうた」や「にほんごにこにこ」にたくさん入っています。もちろん教科書にでてきた「ケムシ」もありますよ。

  今日は、皆さんに詩の本を紹介します。あとで皆さんにも読んでもらいます。いろいろな詩を読んで、何人かの人に心に残った詩を紹介してもらいます。

今日のめあては「いろいろな詩の本の中から心に残った詩を選ぼう」です。

T はじめに「つぶつぶうた」から問題です。(p8,42)「おふろあがり」。さあ何でしょう?

C わかりません。

C ヒントください。

T ヒントは、野菜です。

C にんじん!

T すごい!正解です。では次の問題です。「なまえのとおりぼうでございます」。さあ何?

C ぼう?名前の通り?

T そう、名前の通りです。

C ぼうし?

T これも野菜です。ほかに思いつく人は?

C 野菜なら、ゴボウ。

T すばらしい、その通りです。では少しレベルアップします。つぎは『こえがする』(p44,48)からの問題です。「めざめた大地のしんこきゅう」。何でしょう?

C えー?

C 難しくなった。これも野菜ですか?

T 食べられます。春に雪の中から…。

C ふきのとうだ!

T 正解!レベルアップしましたね。他にもいろいろ載っていますから、後から読んでみてね。

 

T 今度はこちらを見てください。これは谷川俊太郎さんの「くだもの」という詩です。

(黒板に詩をはる)この(  )は「なんとか」と言いながら読みましょう。

 (みんなで読む)

 さあ、この(  )に入る果物はなんでしょう?

 つぎの8個の中から選びますが、(  )に必ず1つずつ入ります。谷川さんはつるんと食べる果物は何だと思ったのでしょうね。それぞれに当てはまる果物は何か、グループで3分間話し合ってみましょう。

C えー、1つずつ?

C つるんと食べるのは…

T 答え合わせをしましょう。(各グループで発表する)

T 答えが分かったので、みんなで一緒に読んでみましょう。

T これを作った谷川俊太郎さんの詩の本はたくさんあります。この詩は「ふじさんとおひさま」の中にあります。

 

T 谷川俊太郎さんの詩をもう一つ紹介しますね。こちらを見てください。これは何でしょう?

C 石です。

T そうです。谷川さんは「いしっころ」という詩を書いています。みなさんだったらこの「いしっころ」でどんな詩を書くかな?これを見てどう思う?

C 丸いと思います。

C 白いと思います。

C 川に向かって投げたくなります。

T 谷川さんが「いしっころ」の題でどんな詩を書いたのか、読みますね。

 

T さあ、詩の本の紹介はこれで終わりです。どうでしたか、読んでみたい詩の本は見つかりましたか。今日紹介した以外にも詩の本はみんなの前にたくさんあるので、その中から心に残った詩を見つけましょう。グループごとに6色ずつ付箋があります。だれがどの色の付箋を使うのか、決めてください。

T 決まりましたか?

T 読む前に本の一番はじめにあるこの目次を見てみましょう。目次には詩の題名が書いてあるので、そこから気になったものを選んで読んでみるといいですね。「これいいなあ」と心に残った詩のページに付箋を貼っておくのですよ。選んだ詩の題名と作者はこのプリントに書いてね。どんなことが心に残ったかも言えるといいですね。

 

T 時間です。どうかな。選べたかな?では、心に残った詩を紹介してもらいます。

C 私は「うたう」の詩が心に残りました。言葉がとてもきれいなところが良いです。

C ぼくは「くだもの」の詩が心に残りました。本当にそうだなあと思ったからです。

T 最後に中秋先生にも選んだ詩を紹介してもらいます。

 

T 今日は、みなさんが心に残ったと思う詩を見つけられて良かったです。これから図書室に来たときには、詩の本も読んでみてくださいね。いいなと思う詩がもっともっと増えると良いですね。

 

 

学 習 活 動 と 内 容 と 支 援

資  料

1 本時のめあてを知る。

めあて

いろいろな詩の本の中から、心に残った詩を選ぼう。

 

○ いろいろな詩の本から心に残った詩を選ぶことを確認する。

○ 最後に何人かが紹介することを伝える。

 

 

2 ブックトークを聞く。

(1) 「つぶつぶうた」(P9,42)と「こえがする」(P44)からいくつかの詩を聞いてクイズに答える。

○ 「つぶつぶうた」で前時と同じ型のクイズを行い、意欲をもたせる。

○ 子どもたちに興味をもたせるために、一部を隠すなどヒントの出し方を工夫する。

 

(2)「くだもの」(P36)で詩の言葉みつけ(読書へのアニマシオン)をする。

○ 表現に当てはまる果物が何か、グループで相談し合う時間をとる。

○ 答えを見つけやすくするために、選択肢を与える。

○ 表現の仕方や言葉の受け止め方が人によって違うことを伝え、グループで考えた答えが違うことの良さとおもしろさを感じさせる。

 

B 「いしっころ」(P46)から同じ言葉が繰り返され、いくつかの連から成る詩の読み聞かせを聞く。

○ 読み聞かせの前に具体物を見せて、自分ならどのような表現をするのか少し考えさせ、詩への興味をもたせる。

 

3 紹介された本の中から心に残った詩を選んで付箋を貼り、ワークシートに書き込む。

○ 詩を選ぶときに目次を参考にして探すと良いことを教える。

○ 各グループに詩集と数種類の色の付箋を準備し、誰がどの付箋を貼ったか分かるようにする。

○ 子どもの数以上の詩集が揃うように近隣の小中学校の図書館から借りておく。

○ 活動が進まない子どもには、担任からも助言をしてもらう。

 

4 心に残った詩を発表する。

○ いろいろな詩の紹介ができるように子どもたちが何をワークシートに書いているのかを把握しておく。

○ 発表ではどんなところが心に残ったか言うように伝えておく。

○ 担任が選んだ詩について話してもらい、今後、子どもたちが詩を読むきっかけにする。

 

5 本時のまとめをする。

○ 子どもたちがいろいろな詩を読み広げていけるように話をする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『つぶつぶうた』(理論社)

『こえがする』

(理論社)

ふじさんとおひさま』(童話屋)

 

 

 

○「くだもの」のプリント

 

 

 

 

 

 

 

 

『いしっころ』P46(岩崎書店)