第6学年 図書館教育学習指導案(国語科)

1 単元名  表現を味わい、豊かに想像しよう 「やまなし」

                       

2 単元目標

 ◎ 比喩的な表現を手がかりにして「やまなし」に描かれた情景を、叙述に即して想像しながら読むことができる。

       宮沢賢治の生き方や考え方を探り、宮沢賢治の他の作品を比べながら読むことができる。

 

3 指導計画(15時間)

 (1)「イーハトーヴの夢」をよみ、宮沢賢治の生き方を考える。‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥3

 (2)読み通しのめあてをつくる。‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥1

(3)全文を読み、読み通しのめあてに沿って、二枚の幻灯を簡単な言葉や図で表し、文章

構成をとらえる。‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥1

(4)読み通しのめあての答えを話し合う。‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥2

(5)読み確かめの学習計画を立てる。‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥1

(6)「五月」と「十二月」の谷川の情景を読み確かめる。‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥4

(7)「五月」と「十二月」の情景を対比し、宮沢賢治が伝えたいことを話し合う。‥‥‥‥1

(8)テーマ「宮沢賢治の世界」でブックトークをきく。‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥〈本時〉1

(9)「やまなし」と比べながら宮沢賢治の他の作品を読み、似ているところや違うところ

を発表し合う。‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥1

 

4 本時の目標

     宮沢賢治の他の作品に興味を持ち、「やまなし」と比べながら読むことができる。

 

5 本時指導の考え方

本時の指導にあたっては、教師のブックトークを聞くことで、宮沢賢治の書いた他の作品に興味を持たせ、「やまなし」と比べながら読んでいかせたい。

まず,「やまなし」の表紙を3冊見せることで,教科書の印象とは違う挿絵に触れさせたい。挿絵を書く人のとらえ方・えがき方により,文章は同じでも作品の印象が変わるので,興味を持つことが出きると考える。また,教科書の「やまなし」では,12月となっているが,偕成社「日本の童話名作選」では,11月になっていることに触れ,作品によっては,表記もあえて変えてあることを伝える。

次に,「やまなし」のように見出しが付いている3作品「雪わたり」「風の又三郎」「オツベルと象」を紹介する。「雪わたり」では,その1(子狐の紺三郎)「風の又三郎」では,9月1日「オツベルと象」では,第1日曜という書き出しで始まる。2つのお話からできているのか,問うことで,本を読んで確かめてみたいという気持ちを持つことができると考える。

そして,「オツベルと象」の象につないで,生きものの名前が付いた作品や,生き物が登場する本を簡単に紹介していく。「なめとこ山の熊」「鹿踊りのはじまり」「土神ときつね」「雁の童子」「カイロ団長」「セロ弾きのゴーシュ」どの作品も『人間も人も動物も,互いに心が通い合うような世界』を願う宮沢賢治の夢や願いが,含まれている作品である。続けて,司書教諭に短い読み聞かせをしてもらう。担任以外の先生の声で読み聞かせを行うことは,子ども達の気分も変わるので取り入れることにした。ここでは,3冊「どんぐりと山猫」「注文の多い料理店」「猫の事務所」である。ねこ(山猫)つながりで,子ども達にも分かりやすく読みやすいお話を選んだ。動物つながりの最後は,「よだかの星」よだかは鷹ではなく,かわせみやハチドリの仲間であることを伝え,「よだかの星」とはどんな星なのかを問いかける。

それから,星つながりで「双子の星」「銀河鉄道の夜」を紹介する。情景の美しさも宮沢賢治の作品の特徴であることを伝える。

最後に,担任お勧めの本として「虔十公園林」「グスコーブドリの伝記」を紹介する。虔十もグスコーブドリも『人間が人間らしい生き方をする』という宮沢賢治の理想に重なるお話である。

 ワークシートには,宮沢賢治のブックリストを載せておき,自分が興味を持った本に印を付け読書につなげたい。子ども達には,「やまなし」のお話と似ているところ,違ったところを発表させ読書の輪を広げたい。

 

6 準備

 紹介する本、ワークシート

8 シナリオ        テーマ「宮沢賢治の世界」

配時

シ ナ リ オ

2分

 

 

 

 

 

 

 

 

5分

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

3分

 

 

 

 

 

 

 

 

5分

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

7分

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

5分

 

 

 

 

 

 

 

 

2分

 

 

 

 

 

13

 

 

 

5分

T みんなで「やまなし」の学習をしましたね。作者は誰でしたか。

C 宮沢賢治

T そうです。きょうは、「やまなし」の作者宮沢賢治さんの本をたくさん紹介します。美しい情景や宮沢賢治さんの『人間も人も動物も,互いに心が通い合うような世界』『厳しい生活の中にでも幸せを見つけて喜ぶ』考え方や生き方を「やまなし」と比べながら読んでみましょう。(めあてはる)

T 「やまなし」の絵本は一冊だけではありません。

C 見たいな。

T はい。(といって、「やまなし」の絵本を数冊見せる。)同じ「やまなし」でも、さし絵を描く人の感じ方によって絵もいろいろですね。(福武書店・・・黒板へ掲示)

T ところで、この本の22ページをよく見ると教科書と違うところがあるのですが、見つけられますか。

C 12月が、11月になっています。

T そうです。この絵本の後ろの注意書きに、「第「二」章は発表以来「十二月」となっていますが、のちに発見された下書稿では「十一月」になっていること、第「二」章頭に『底の景色も夏から秋の間にすっかり変わりました。』とあること、熟したやまなしが谷川におちるのは十二月ではおそすぎるという説をここではとり、「十一月」としました。」とあります。何月にするのかというところまで、細かく考えられていることがわかりますね。

T 「雪渡り」「風の又三郎」「オツペルと象」の初めのページを見てみましょう。「その1(子狐の紺三郎)」とか「91日」とか、「第一日曜」とか書いてありますよ。「やまなし」と書き方が似ているお話なのかな。

C 違うと思う。

T 今,「オッベルと象」に象という言葉が出てきましたが、お話の題名に生き物が付いた作品もたくさんあります。

 「なめとこ山の熊」猟師の小十郎が熊に襲われた三日目の晩は、まるで氷の玉のような月が空にかかり、雪は青白く明るく水は燐光をあげていました。熊に襲われた小十郎は、助かるかな。

「鹿踊りの始まり」今でも、岩手県で踊られる鹿踊りが始まった昔話を語っています。

「土神ときつね」樺の木に片思いしている土神と樺の木に尊敬されている狐、3人の関係はどうなるかな。

「雁の童子」鳥の雁の姿で空を飛び、すりや様という人の子どもとなった童子のお話です。

「カイロ団長」カイロ?だけじゃわかりにくいですね。(最後の挿絵を見せる)

C カエルだ

T 30十匹のアマガエルが、ちょっとするがしこいトノサマガエルに勧められて高いお酒をどんどん飲まされてしまいます。お金を払えない,アマガエルは大ピンチだよね。

T 「セロ弾きのゴーシュ」チェロが上手でないゴーシュの所に毎晩いろんな動物が尋ねてきて,チェロを弾くように頼みます。次の3冊は,渡邉先生に紹介してもらいましょう。

T「どんぐりと山猫」「あなたは、ごきげんよろしほで、けっこです。あした、めんどなさいばんしますから、おいでんなさい。とびどぐもたないでくなさい。やまねこ」おかしなはがきを受け取った一郎は、きちんと内容を理解できるかな。みなさんは、わかりましたか?

T「注文の多い料理店」読んだ人いますか?これは、先生が大好きなお話のひとつです。

 はじめを読んでみますね。(P611を読む)

T題名にはないけれど、この本にも前の2冊と同じように「ねこ」が出てきます。どんな風に出てくるのかぜひ読んでみてください。

T「猫の事務所」事務長の黒猫・白猫・トラ猫・三毛猫・かまどの中で寝る窯猫の5匹エリート猫が勤める事務所のお話です。「窯猫がいすの上で一日一杯目をこすって泣いています」なにがあったのでしょう。(P21

T「よだかの星」よだかという鳥が出てきます。たかという言葉がついているけど、鷹の仲間ではなく、かわせみやハチドリの仲間です。「よだかの星」って、どんな星なんだろう?

T今、星が出てきたね。星に関係のあるお話を2つ紹介するよ。1つ目は,「双子の星」天の川の西の岸に住んでいるチュンセ童子とポウセ童子のお話です。

T2つ目は「銀河鉄道の夜」ジョバンニとカンパネルラを乗せた列車が走る天の川。宇宙の銀河を想像してみてください。情景の美しさも宮沢賢治さんの作品の特徴でしたね。

T このように宮沢賢治さんはすばらしい童話をたくさん書いています。先生が心に残っているお話を紹介します。「虔十公園林」(P.4445)と「グスコーブドリの伝記」です。『人間が人間らしい生き方をする』という宮沢賢治の理想に重なる生き方や考え方がよく表れた作品だなあと思います。

C 読んでみたいなあ。

T それでは、今から宮沢賢治さんの作品を読んでみましょう。(ワークシートを配る)読みたい作品は決まりましたか?「やまなし」と同じような美しい情景描写や宮沢賢治さんの考え方が見つかるといいですね。

 

T みなさんは、「イーハトーブの夢」で、宮沢賢治さんの生き方や考え方を学習しましたが、もっと知りたい人は、このような伝記を読んでみるのも面白いですよ。

7 本時の展開

学習活動と内容

支   援

資 料

1 本時のめあてを知る。

 めあて

 

 

 


2 ブックトークを聞く。 

@「やまなし」の表紙を見せる。

 

 

 

A「雪渡り」

「風の又三郎」

「オッペルと象」

始めを見せる。

B「なめとこ山の熊」

 「鹿踊りのはじまり」

 「土神ときつね」

 「雁の童子」

 「カイロ団長」

 「セロ弾きのゴーシュ」

 主人公などを簡単に説明する。

C「どんぐりと山猫」

 「注文の多い料理店」

 「猫の事務所」

 引用した文章を読み聞かせる。

D「よだかの星」

 「双子の星」

 「銀河鉄道の夜」

 情景の美しさに目を向けさせる。

 

E「虔十公園林」のさし絵を見せる。

 「グスゴーブドリの伝記」

 

3 紹介された本の中から、読みたい本を選び発表する。

 ○ワークシートに書く。

 

4 「やまなし」と比べられたところを発表する。

 

5 学習をまとめる。

○ 国語で学習した「やまなし」を想起させる。

 

 

 

○教科書の印象と3冊の絵本の印象を比べさせる。

○作品によっては、表記も違うことがあることを知らせる。

 

○見出しの付いた本を紹介する。

 

 

○動物の名前がついた本を簡単に紹介する。

 

 

 

 

 

○「どんぐりと山猫」P.3

○「注文の多い料理店」P.6~11

○「猫の事務所」P.21

 

○星につながる本を紹介する。

○「双子の星」P44,45「銀河鉄道の夜」P22,23のさし絵を見せる。

 

 

○「虔十公園林」P.28,29「グスコーブドリの伝記」P4,5のさし絵をみせる。

○これまでに読んだ本の中から探してもよいことを助言する。

○紹介した本を一覧表にしておく。

 

○似ていたところ、違ったところを発表させる。

 

○ 宮沢賢治の生きかたに興味を持たせる。

 

 

 

 

 

 

『やまなし』(偕成社)(岩崎書店)(福武書店)

 

 

『雪わたり』(福武書店)『風の又三郎』

『オッベルと象』(パロル社)

『なめとこ山の熊』

『鹿踊りのはじまり』

『土神ときつね』

『雁の童子』

『カイロ団長』

『セロ弾きのゴーシュ』

『どんぐりと山猫』

『注文の多い料理店』

『猫の事務所』

『よだかの星』

『双子の星』

日本の名作童話(偕成社)

 

『銀河鉄道の夜』(講談社)

 

『虔十公園林』(にっけん教育出版)

『グスゴーブドリの伝記』(くもん出版)

 

 

 

 

 

 

『宮沢賢治』(ポプラ社)

○ワークシート

 

「イーハトーヴの夢」宮沢賢治の世界を「やまなし」と比べながら読もう。